海外競馬、レーティング

日本馬の海外遠征、レーティング、次走情報など

レーティングの計算・算出方法、着差・距離との関係

(2022-04-23 負担重量、性差、年齢との関係を追記)
(2022-11-12 芝とダートの着差について訂正)

よく1馬身差がレーティング差2と言われますがそれは1600mの場合です
1200mの場合は1馬身で3くらい差をつけますし3200mの場合は1しか差がつきません

これは同じ実力の馬に2ポンド(約1kg)のハンデ差をつけると1600mでは1馬身の差がつき、3200mでは2馬身の差がつくという考え方でもありますし、距離が短いと着差がつきにくいという意味でもあります

芝におけるレーティングと着差の関係は概ね一番下の表の通りです
ダートは、1200m、1600mについては芝と同じですが、2000mについては芝の2400mと同じくらいになっています

0.5は0の時と1の時があるという意味です
ただ、1着馬と2着馬の差はこの表+α(1が多い)の差をつけることがあります(なお、私はこれを勝手に勝ち馬ボーナスと呼んでいます)

それは、2着以下の馬は1つでも上の着順を目指して全力を尽くすが、1着の馬は勝ちさえすればそれでよいので全力を出し切っていない場合があるという考え方だと思われます

このルールがわかっていれば誰がレーティングをつけても2着馬から最下位馬までのレーティング差はほぼ同じになります
勝ち馬ボーナスも2以上つけることはめったにないので、人によって考え方が分かれるのは主にレーティングの水準です

レース前における各馬のその年の、または、前年の最高レーティングをプレレーティング(持ちレート)と言いますが、プレレーティングなど各馬の過去のパフォーマンスや昨年までの同レースとの比較をはじめとして、タイムや展開、レースに出ていない他の馬との比較など諸々の要素を考慮して水準を決めていきます

例えば昨年のダービーを例にとると
・7年前のキズナ以降の勝ち馬は最低でも119
・ロジャーバローズは12番人気
皐月賞1着サートゥルナーリアが119で3着ダノンキングリーがアタマ+ハナ差で118

以上から、ダノンキングリーが皐月賞と同等の走りをしたと判断し118、クビ差のロジャーバローズは119、2馬身1/2差のヴェロックスが114、そこから1/2馬身差と+アタマ差のサートゥルナーリア、ニシノデイジーは113となりました

ロジャーバローズの戦績、人気やダノンキングリーとの着差から考えると120以上はつけすぎの感があり、118だと過去7年で単独最低になるとともにサートゥルナーリアより低くダノンキングリー、ヴェロックスと同じというのは低すぎる気がしますので、平均的なダービー馬に与えられる119が妥当と考えられます

ダノンキングリーはヴェロックス、サートゥルナーリアとの着差から122とすることも可能ですが、それではダノンキングリーもロジャーバローズも高すぎますので、皐月賞と同等とすべきです

ヴェロックス、サートゥルナーリアは皐月賞と比べて凡走したと判断するのが妥当、ニシノデイジーホープフルステークスのサートゥルナーリアから2馬身1/4差の3着よりは好走したと判断するところでしょう

よって、先ほどのレーティングがちょうどよい水準と考えられ、以下の通りとなります

馬名 着差 レーティング プレレーティング
ロジャーバローズ    -  119 108
ダノンキングリー  クビ 118 118
ヴェロックス    2 1/2 114 118
サートゥルナーリア 1/2 113 119
ニシノデイジー  アタマ 113 111
tsutomu24.hatenablog.com

同じレースでもレベルの高いレースだと思う人もいれば低調だと思う人もいますが、JRAはレース後の木曜日には重賞等のレーティングを公表しますので、後で振り返って過大または過小だったという場合は年明けの最終レーティング公表の際などに修正されることもあります

かつては、日本馬のレーティングは実力よりも低い印象がありましたが、日本馬のレベルが徐々に上がっていると海外のハンデキャッパーからも認識されていることから、以前より高めにつけることが容認されるようになってきています

(2022-04-23追記)
負担重量とレーティングとの関係ですが、基本的に0.5kg=1ポンドとしてレーティングに反映させます。負担重量に1kgの差があって同着であれば、負担重量の重い馬には軽い馬より2ポンド高いレーティングをつけるということです

日本では牝馬の負担重量を2kg減(2歳馬を除く)とするため、牡馬57kgと牝馬55kgが同着であれば、レーティングでは4ポンド差をつけます

では年齢による負担重量差もレーティングに反映させるかというと、それはしないことになっています

例えば、2021年の天皇賞・秋のレーティングと負担重量、着差は以下の通りです
1着 124 エフフォーリア(56kg)
2着 122 コントレイル(58kg)   1馬身
3着 117 グランアレグリア(56kg) クビ

2000mにおける1馬身差はレーティングでは2ポンド差なので、エフフォーリアとコントレイルは着差通りとなっています。年齢による負担重量差をレーティングに反映させるなら、コントレイルのレーティングはエフフォーリアより2ポンド高くすべきところです

JRAにおいては、下記リンク先の通り、年齢と距離によって負担重量差が細かく決められています。ハンデ戦や別定戦でも、この年齢による負担重量差はレーティングには反映させません
負担重量:競馬のルール JRA

例えば、2022年2月のハンデ戦ダイヤモンドステークス(3400m)のレーティングと負担重量、着差は以下の通りです
1着 109 テーオーロイヤル(54kg)
2着 104 ランフォザローゼス(54kg) 2 1/2
3着 105 トーセンカンビーナ(55kg) 1/2
4着 103 ヴァルコス(54kg)    クビ

2月の2200m以上のレースなので、別定戦であれば4歳のテーオーロイヤルだけ1kg軽くなるところをランフォザローゼスと同じ斤量ということは、実質的には1kg重いと考えます。着差だけなら1着と2着のレーティング差は3ポンドですが、5ポンド差がついているのはそのためです

着差だけなら2着と3着のレーティング差は1ポンドですが、3着のトーセンカンビーナの方が1kg重いため、逆にトーセンカンビーナの方が1ポンド高くなっています。3着と4着は着差だけなら同レーティングですが、トーセンカンビーナの方が1kg重いため、2ポンド高くなっています

f:id:tsutomu24:20200220231357j:plain

レーティングと着差の関係