2019年から2021年までの3ヶ年平均は以下の記事に記載しましたが、2020年はコロナによりドバイワールドカップデーが中止になったり、欧米のレースが延期になったりと大きな影響があったことから、2020年は参考値にとどめる場合があるため、2018年、2019年、2021年の3ヶ年平均のランキング表も載せておきます。
tsutomu24.hatenablog.com
改めてレースレーティングの概要について説明しますが、毎年1月にIFHA(国際競馬統括機関連盟)が、前年の「世界のトップ100GⅠレース」を公表しています。これは、世界のGⅠ(2歳限定を除く)のうち年間レースレーティングの上位100レースをランキングしたものです。
下記リンク先の「Racing」にある「Longines Rankings」に、2015年以降の「世界のトップ100GⅠ」や各馬のレーティングが掲載されています。
http://www.ifhaonline.org/
2016年分から、現在と同じ単年度の数値によるランキングになっていますが、2015年分までは直近3ヶ年の平均値によるランキングでした。
年間レースレーティングは、4着までの馬のその年の最高レーティングの平均値です。レースのレベルの目安となり、格付け審査に用いられます。牝馬限定以外のレースで牝馬が4着までに入った場合には、4ポンドの牝馬アローワンスを加算します。
30位まで掲載していますが、ホイットニーステークスとクイーンエリザベスⅡ世カップは2018年が100位未満のため、推計値となります。
1位は凱旋門賞です。というか2018年、2019年、2021年の3年とも単年度でも全て1位です。伝統や格式はもちろん、賞金の低い欧州の中では1着賞金が約3億7千万円と断トツで高く、2400m路線の欧州馬全て(騸馬を除く)が目標とするレースになっていますので、高いレーティングを持つ馬が多く出走することで、レースレーティングが高くなっています。
距離別に見ると、Lコラム(2101m~2700m)が7レースで、高い順に凱旋門賞、「キングジョージ」、有馬記念、ドバイシーマクラシック、ジャパンカップ、英ダービー、宝塚記念がランクインしています。2020年が中止になったため2019-2021版ではランクインしなかったドバイシーマクラシックが10位に入っています。
Iコラム(1900m~2100m)が最多の12レースで、高い順にブリーダーズカップクラシック、クイーンエリザベスステークス、プリンスオブウェールズステークス、エクリプスステークス、コックスプレート、天皇賞(秋)、インターナショナルステークス、チャンピオンステークス、愛チャンピオンステークス、ケンタッキーダービー、大阪杯、クイーンエリザベスⅡ世カップがランクインしています。
Mコラム(1301m~1899m)は9レースで、高い順にジョージメインステークス、クイーンエリザベスⅡ世ステークス、香港マイル、チッピングノートンステークス、ホイットニーステークス、安田記念、ジョージライダーステークス、ジャックルマロワ賞、ウィンクスステークスがランクインしています。
Sコラム(1300m以下)はTJスミスステークスのみで、Eコラム(2701m以上)はアスコットゴールドカップのみです。
国別に見ると、30レース中、イギリスが8レース、オーストラリアが7レース、日本が6レース、アメリカが3レース、フランスと香港が2レース、UAEとアイルランドが1レースとなっています。
日本のレースは高い順に有馬記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、宝塚記念、大阪杯、安田記念がランクインしており、明確に秋>春となっています。これは、3歳馬の出走の有無、春はドバイや香港に遠征する馬が多い、宝塚記念は時期的に回避する馬が一定数いる、天皇賞(春)は距離が長い、といったことが要因と考えられますが、逆にマイル路線は、レーティングの高い中距離馬の一部が出走する安田記念の方が高くなっています。
ジャパンカップは2014年にレースレーティング世界一となるなど、日本で最もレベルの高いレースの1つですが、2019年はメンバーがそろわなかったため、有馬記念と天皇賞(秋)を下回っています。
3歳限定戦は英ダービーとケンタッキーダービーがランクインしています。一部推計になりますが、これに続くのが日本ダービー、アメリカのベルモントステークス、皐月賞、英2000ギニー、アメリカのプリークネスステークスです。
牝馬限定戦はランクインしていません。3年とも100位以内に入っているレースがないため推計になりますが、牝馬限定戦の中でトップはブリーダーズカップフィリー&メアターフ、僅差の2位はブリーダーズカップディスタフです。これらに続くのが、英国のヨークシャーオークス、アイルランドのメイトロンステークス、フランスのオペラ賞、英国の英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークスです。欧州の芝路線はもちろんアメリカの芝路線よりレベルが高いですが、欧州の強い牝馬は牡馬混合戦にも出走しますし、他にいくつも牝馬限定GⅠがあるので、ヨークシャーオークスやメイトロンステークスはこの路線の全ての牝馬が目標とするレースというわけではありません。それに対して、アメリカのダート牝馬は、かなり強くてもブリーダーズカップクラシックに向かうのは稀で、みんながディスタフを目標にするので、レベルが高くなります。フィリー&メアターフもアメリカの芝中長距離の牝馬みんなが目標にするレースであり、かつ欧州馬が出てくる(2021年はラヴズオンリーユーも)ので、高いレーティングを獲得しています。